アンティークジュエリーの修復

アンティークジュエリーの修復は、ケンズショップの真骨頂。

当工房には長年の経験と、数々のアンティークジュエリー展のコンサベーションで培ったノウハウがあります。

アンティークリングのサイズ直しから博物館級の美術作品の修復まで、一般の工房では難しいアンティークジュエリーの修復を手がけております。

以下、ケンズショップが開発した技術の一部をご紹介します。

※現在、一般のお客様および、ネット経由でのアンティークジュエリーの修理・修復はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。専門業者の方についてはお問い合わせください。

トレンブランとは

トレンブランとは、花などのパーツの下に小さなバネが仕掛けられ、身に着けた時花が繊細に揺れ動くように作られたジュエリー(主にブローチが多い)のこと。トレンブランは「震える」という意味です。

トレンブランの命ともいえるバネ部分が劣化し、動きが鈍くなってしまったものを、パーツの重さにあった幅、厚み、巻数のバネを作成し、トレンブラン本来の震えるような繊細な動きを甦らせます。

劣化したバネ
バネを作成してボックスに収めた状態

ローマンモザイクとは

ローマンモザイクとは、イタリアのローマを中心に作られたモザイクで、細い色ガラスの棒をカットして、縦に隙間なく並べてモチーフを描いたもの。

抜け落ちてしまったガラス片を、硬質樹脂によって微妙な色合いまで合わせて再現し、欠損した部分にはめ込み修復します。

エナメルとは

エナメルとは、さまざまな色のガラス粉を金属などの表面に焼き付けたもの。日本の七宝焼きも同じ技法が用いられています。

エナメルのキズや欠けを、硬質樹脂により補修します。
独自に配合した樹脂による、プリカジュールエナメルの補修も可能です。

ベルリンアイアンとは

ベルリンアイアンとは、19世紀初頭戦争の戦費を賄うために民間から金などを徴収した代償として、プロシア政府が作り人民に与えた鋳鉄製のジュエリーのこと。表面に黒漆をかけたものが多くあります。

経年により、この黒漆が剥げ赤錆が湧いている物の赤錆を取り除き、往時の美しさを甦らせます。

赤錆の付いた状態
赤錆を除去した状態

鉄製の刀の鍔などを黒くする技法を用いて全体に綺麗に黒錆びをつけ、表面に漆を定着させ仕上げます。

黒錆びをつけた状態
漆を定着

ハンダ(半田)除去とは

アンティークジュエリーの修理には比較的作業温度の低いハンダが多く使われています。ハンダで修理されたジュエリーは接合した部分が脆く、ちょっとした衝撃で外れてしまったり、破損したりします。 ハンダによる修理は、安易で一時的な修理法といえます。

本来の修理方法としては、より高温での作業が必要となるロー付けによる修理が理想的と言えます。 しかし、ジュエリーに付着したハンダを除去せずロー付け作業を行うと、母体の金属ごと溶けてしまいます (半田に含まれる金属、ロー材に含まれる金属、母体の金属が混ざりあい6~8元合金となってしまうため)。

従来、半田を除去するには物理的に削り取る方法しかありませんでした。この方法では、石座の裏側、彫刻模様に流れこんでしまった半田は完全には除去出来ません。

当工房では、母体となる貴金属(銀、金、プラチナ)やセッティングされた貴石(ダイヤモンド、サファイヤ、ルビー、エメラルド)を損なうことなく、独自の薬品を用いて化学的に除去する方法を開発しました。

この方法により高温度をかけたロウ付けをすることができ、より理想的な修理が可能となりました。

ハンダが石座裏に付着している例
ハンダが付着した状態
ハンダ除去途中
ハンダを除去した状態

欠損したパーツの復元

欠損したパーツを復元する場合、作品本体と金属色を合わせる必要があります。
金のパーツを例にとると、例えば18金の場合、含有される銀と銅の割合で色合いが異なります。割金を調合し色合いを合わせた地金を作りパーツを製作します。

パーツが欠損した状態
地金の色を合わせて制作されたパーツ

爪の欠損・磨耗

経年により宝石をセットしている爪が磨耗している場合を多く見かけます。
レーザー溶接機、アルゴンガス溶接機などを使用して爪に金属を肉盛りします。

色上げ

たとえ変色し難い金製品であっても、長い年月を経たものは黒く硫化してくる場合があります。 また、その風合いがアンティークジュエリーの魅力でもありますが、過去の修理によってその風合いが損なわれてしまっている場合があります。

当工房では、日本の伝統工芸で使われる様々な色上げ技法(煮色着色など)を駆使し、修理前の風合いに仕上げます。
また、保管状態などにより過度に変色した場合なども風合いを損なわずに色上げいたします。

美術展コンサベーション

アンティーク修復における長年の実績が評価され、当工房では、美術展におけるコンサベーション業務を手がけるようになりました。

コンサベーションとは、美術品のコンディションを、展示会開催前・後にチェックし、レポートの作成・報告を行うことをいいます。

コンサベーション実績についてはこちらをご覧ください。